【インタビュー記事】パソナ農援隊の手掛ける農山村体験研修とは?

企画

こんにちは。運営の中村です。
今回は、新企画!「農業分野で活躍する企業へのインタビュー」を行いました!
第1回は株式会社パソナ農援隊さんです。


パソナ農援隊さんは、2011年12月の設立以来、農業分野における人材の育成、新たなビジネスモデルの構築、サポートインフラの整備を中心に、さまざまな事業を展開されています。

今回は、同社が今年度実施した農林水産省の農山村体験研修について、地域創生事業部の石場様にお話を伺いました!

★パソナ農援隊、今回の農山村体験研修担当の3名。写真中央が今回お話を伺った石場様。

本日はよろしくお願いいたします。
さっそくですが、パソナ農援隊さんが実施されている農山村体験研修とはどのようなものですか?

弊社が農林水産省農村振興局からの交付金を受けておりまして、今年度からの新規事業です。学生さんから社会人まで、60歳未満の方を対象に公募を行い、基本的には2泊3日で現地の農業や林業、地域文化を体験していただきました。(本来は1週間のところを今年度はコロナ禍の状況で縮小して実施。後述)

具体的な研修の内容については運営主体に任されているのですが、農山漁村振興交付金ということで、農業や林業など幅広い体験ができるような研修にしています。例えば、農業体験については、農作業が主になっていますが、鳥獣関係で罠をしかける体験なども行っていますし、地域の農業関係のイベントやお祭りなど、地域の文化にも触れあえるようになっています。

★実際の募集ページ

これからの暮らしを考える/農山村体験事業
いつか田舎に住んでみたい。今、そんな選択肢を考える方が増えています。いつか挑戦してみたいが、今に変わる。そんな、「ちょこっと先」の希望にお答えする 暮らしの情報と体験プログラムをご用意しました。

農業だけでなく、地域文化についても学べるのが良いですね!

そうですね。今年度の研修地域は5地域に分かれています。具体的には、栃木県の益子町、千葉の鴨川市、岐阜県の郡上市、大阪府の泉佐野市、兵庫県の淡路市で研修を実施しました。

例えば、千葉の鴨川市という地域で農山村体験研修を行っています。ここは、農業関係で言うと大山千枚田という有名な棚田があるところです。この地域では「太巻き祭り寿司」という伝統食があり、研修では農作業だけでなくてお寿司づくり体験もプログラムに入っていました。断面にお花の模様が出来るお寿司なので、参加者の皆さんにも喜んでいただけましたよ。また、体験に参加される方の費用負担は、食費以外基本的にはありません。宿泊場所などは、こちらの方で全て手配しました。

★各地域での研修テーマと内容(参加者募集ページを参照)

地域テーマ
栃木県 益子町農村や山林を活用した六次産業化への取り組み
千葉県 鴨川市鴨川市の風土文化、地域の人々との触れ合い
岐阜県 郡上市猟師の6次産業化と里山保全
大阪府 泉佐野市大阪・泉州地域のさらなる発展へ向けて
兵庫県 淡路市耕作放棄地の再生を通して、持続可能な社会へ

プログラムにはどのような方が参加されているのでしょうか?
周辺にお住まいの方以外にも、東京などから来られるのですか?

今回の参加者は幅広い地域から集まりました。
この事業の主旨としては、どちらかというと、都市部の方に農村の体験をしていただくことを目的にしています。なので、参加される方としては、この事業で指定されている県(注)や政令指定都市に居住する、いわゆる都市部の方を対象にしています。

★大阪府泉佐野市での研修の様子

昨年は新型コロナウイルスの影響でなかなか実施が難しい中、どのように実施されたのですか?

苦戦した部分も多くありましたね。今回、100名近く応募があったのですが、残念ながらキャンセルされる方が20名ほどいらっしゃいました。理由としては、緊急事態宣言が出るなか、ご家族への感染等が心配になり躊躇してしまうといったことがあるようでした。とはいえ、個々の研修の参加者は地域ごとに3名から多くても10名ほどで屋外が中心ですので、それほど密になることもなく実施ができました。現地の方々も温かく受け入れてくださいました。

また、オンラインでの研修も組み込みました。実地研修の前と後にオンライン研修を加えて、全体で5日になるようにしました。また、新型コロナウイルスへの対策として、研修生全員にPCR検査を行いました。研修生は少し大変だったかもしれませんが…。受け入れていただく地域の方々に安心していただくため、陰性の方のみ参加できるという形にして、幸い全員クリアされました。

一方で、今回、東京でいなくても仕事ができるということもわかりましたよね。研修生の中でもゆくゆくは地方に移住することを考えているという方や、新たなライフスタイルを見つけたいという方もいらっしゃいました。
このように、新型コロナウイルスは、研修実施にとっては逆風であった一方で、新たな地方への移住の可能性を喚起したというところもあったのではないかと思います。

私たちWeFarmでもなかなか最近畑に行く機会が少ないのですが、オンラインの活用は重要になってきているのを感じます。現地はどのような様子でしたか?

地域の方は、積極的に関わってくださっています。それぞれの地域には、こちらからお願いをしました。実地研修の内容については、基本的に地域の方にお任せしました。

それぞれの地域では、これまでからも受け入れをしてきたところがあったり、観光業で現地に人を受け入れるのには慣れていたりと、受け入れの素地があるところもありました。

★栃木県益子町での研修の様子

私も、鴨川市と淡路市の研修には1日目だけ参加しました。
鴨川市での研修では農家さんが新規就農された方で、就農にあたっての大変なところを超えていく苦労話をしてくださっていました。農作業だけでなく、農家の方のお話を直接聞けたことが良かったようです。また、現地に棚田の保存会があるのですが、研修生のひとりが棚田オーナーになっていただいたといううれしいニュースもありました。参加者と地域の方との間で交流が生まれ良かったなと感じました。

淡路市での研修では、「タネノチカラ」という弊社の関連会社が無農薬・無化学肥料で農業生産の実証をしているところで研修をしてもらいました。そこでは、農薬を使わない栽培方法なども実践しているので、「慣行農法しか知らなかったので勉強になった」という声が聞かれました。農業に興味はあったけれど畑に触れたことがないという学生さんも多数参加し、実際の現場に触れられる良い機会になっていたようです。また、「タネノチカラ」のスタッフが会社を立ち上げたときの思いなど、その生きざまが勉強になったという声もありました。こちらが予期していなかったところでも、学びが生まれていたようです。

★兵庫県淡路市での研修の様子

研修には、どのようなことを期待していますか?

事業の主旨にもあるように、ベストは就農につながればよいと考えています。ただし、必ずしもすぐに就農しなくても、まずは農村に関心をもってもらって、こういうところだったら働いてもよいという意識をもってもらうことも重要だと考えています。例えば、農家民宿に興味があるという方も研修に参加されていました。農業でも、その関連産業でもよいのですが、農山村地域で仕事を持ちたいと思ってもらえればよいと思います。また、都市と農村をつなげて交流を促して、関係人口を増やすこともできればよいと考えています。

実際に、農業に関心があるけれど、今まで全くやったことがないという方も結構おられました。例えば、「初めて農機具に触りました」や「田んぼってこんなに自由に動けないのですね」のような感想を抱く方もいました。農作業を体験するだけでなく、農家の方のお話が直接聞けたこともよかったのではないかと思います

ありがとうございます。
せっかくの機会なので伺いたいのですが、農山村体験研修の他に石場様が携わられている事業はございますか?

子育て世代の女性農業者支援と、農業における働き方改革に主に携わっています。

やはり人材面での事業なのですね!
子育て世帯の女性農業者支援とはどのようなものですか?

子育て世代の女性農業者さんの「子どもを預かってほしい」というニーズと、地域のお母さんで「時間があるので農作業をしたい」というニーズに応えられるように、そこをマッチングするというか、ある意味で結びつけるというような事業です。

例えば、ある地域では、保育園などで15時までなど時間の制限があります。ただ、女性農業者さんは時間外保育もやってほしいというニーズがあります。そのお子さんを地域の仕組みとして預かり、また、その農業者さんのもとに地域から農作業をしたい人がいけるようにするという、双方向的な流れをつくるようなイメージです。

現在、全国において4か所でこの実証事業をしていて、地域における仕組みづくりの支援に携わっています。パソナ農援隊の支援としては、地域で必要な場合の専門家を派遣することや地域間での情報交換会の実施、農作業をお手伝いする上での留意点や子どもさんを預かる上での安全を確保する方策などを記載したマニュアルの作成や情報提供を行っています。

そのような事業があるのは知りませんでした。興味深いです。
では、農業における働き方改革についても伺ってもよろしいでしょうか?

農業の働き方改革にも色々なパターンがあるのですが、例えば、農繁期では人手が足りないといったときに、他産業に従事しておられる方で農業で働きたい人をマッチングさせるようなイメージです。

この中で、働き手となる方への研修に加え、受け入れる農家の方も受け入れ条件をしっかりしておかないといけないということで、労務管理や農作業のマニュアルなどの研修を行っています。当社に登録している専門家の方を、研修講師として派遣することも行っています。

ありがとうございます。労働力のマッチングをしていく中で、専門家の方と現地の方がつながりやりとりをする中で、農業全体として働き方改革が進んでいくという期待もありそうです。
最後に、石場様から学生に向けてメッセージをお願いします!

私からの個人的なメッセージになりますが、特に都市部で生活していると、みなさん食事はしているけれど、その食べるものがどういう風に生産されて、どういう風に食卓に届くか、というプロセスが見えにくくなっているように思います。

都市部だと身近に農業の現場がないといったこともあり、生産の現場と消費の距離が離れてしまっているかもしれませんが、常に食卓の向こう側に関心を向けていただけるとよいと思います。機会があれば、農業を体験したり、田舎生活を体験したり、農家さんのお話を聞いてみる機会があると非常に良いのかなという気がします。

学生さんだと、これから色々な道にみなさん進まれると思うのですが、今の若い人には情報発信力と柔軟な発想力があると思うので、自身の農業体験やそれを通じた考えなど大いに発信していただければよいのではないでしょうか。現在の若い世代に対して、またこれからの子ども達などもっと若い世代に対しても、食について農業についてもっといろいろな方に知っていただけるとよいと思います。

石場様、本日は貴重なお話をいただいて、ありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。


(注)埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・岐阜県・愛知県・三重県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県を指します。

お写真は、全てパソナ農援隊様よりご提供いただきました。